【#06】18SS COLLECTIONができるまで
オンラインショップでも一部商品の展開がスタートした、18SS COLLECTION。
Sellenatelaでは毎シーズン、デザイナーの榎本が決めたシーズンテーマに基づいて、モノづくりをしています。シーズンテーマはアートや建築などからインスピレーションを受けることが多いのですが、18SS COLLECTIONのインスピレーションソースになったアーティストとは……?
デイヴィッド・ホックニーの作品にひらめいて
18SS COLLECTIONのシーズンテーマは「Fitful Wind(気まぐれな風)」。
デザイナーの榎本が18SS COLLECTIONの制作に取り掛かったのは、去年の春。
以前から榎本のフェイバリットアーティストの1人であったDavid Hockney(デイヴィッド・ホックニー)。シーズンテーマを決めなければとリサーチに追われていたある日、改めて彼の作品集を手にとってみると、ひとつの作品にふと心惹かれました。
A Bigger Splash, 1967 – acrylic on canvas 96x96 in.
http://www.davidhockney.co/works/paintings/60s より
そこに描かれていたのは、イギリス出身のホックニーが移り住んだアメリカ西海岸で目にした日常の情景。
カラッとした風、突き刺すような光、鮮やかな色。洗練されすぎず、ちょっとシュールで少しの辛気臭さを感じさせる独特の世界感。人も、街も、自然も、自由気ままに生きている。
Picture of a Hollywood Swimming Pool 1964 - acrylic on canvas 36x48 in.
http://www.davidhockney.co/works/paintings/60s より
Early Blossom, Woldgate 2009 - oil on canvas 36x72 in.
http://www.davidhockney.co/works/paintings/00s より
ホックニーが描くそんな世界が、榎本が学生時代を過ごしたサンフランシスコでの記憶と重なり――これぞまさに今のムード!とひらめいたところからシーズンテーマが決まりました。
18SS COLLECTIONでは、そんなホックニーの自由な世界感を挑戦的な色や形で表現。
トレンドでもあるチュールやPVCといった透ける素材は異素材と組み合わせたり、鮮やかなカラーで用いたりすることで、Sellenatelaらしいひねりと遊び心ある靴たちが誕生しました。
新作は全4型。
JULIETTA
今季のアイコンアイテムでもあるバブーシュ「JULIETTA」はホックニー作品に描かれた稜線が着想源。木型にフリーハンドで描いたラインからこのデザインが生まれました。
Mulholland Drive: The Road to the Studio 1980 – acrylic on canvas 86x243 in.
http://www.davidhockney.co/works/paintings/80s より
SILVERとPINKに使われているスペイン産の刺繍チュールも印象的。これは素材の最終決定をする前、旅をした沖縄の街で見かけた異国情緒漂うお花柄にインスピレーションを受けたもの。
こちらはJULIETTA【PINK】のファーストサンプル。
サンプルに銀ペンでラインを引き、履いた時に美しく、かつ榎本が意図したデザインになるように、微調整を重ねているところ。この時点ではラインのデザインを重視するためにバブーシュにしていなかったので、かかとのデザインが異なっています。
シンプルでどんなスタイルにもハマるBLACK SILKY, CAMEL SILKY。コーディネートのスパイスになってくれるPINK, SILVERの4色展開。かかとをつぶして気軽に履ける、軽やかさも魅力です。
JULIETTA
PINK, SILVER, CAMEL SILKY, BLACK SILKY
¥35,640 〜 ¥42,120
REBECCA
ホックニーの作品にしばしば描かれるグラフィカルな線にインスピレーションを受け、透ける素材を異素材とコンビネーションし、遊び心を交えてデザインしたサンダル「REBECCA」。
A Walk Around the Hotel Courtyard, Acatlan 1988 – oil on 2 canvases 72 x 240 in.
http://www.davidhockney.co/works/paintings/80s より
靴のデザイン画というと、手書きのドラマティックなイラストを思い浮かべる方も多いと思います。
グラフィックデザインがバックグラウンドの榎本は手書きしたラフを基にして、まずはイラストレーター上で線画を起こします。画面上でデザインのバランスを精査しながら、カラーリングや色バリエーションを検討していきます。
レザーは種類や仕上げによって印象がかなり異なるため、画面上だけではなく、実際の素材を揃えて精査することが大切。最終的にカラーバリエーションは4つになりました。
REBECCA
BLACK, SILVER, RED SILKY, BLACK SILKY,
¥34,560〜¥37,800
※SILVERのみ 3月上旬入荷予定
LITA
「今シーズンはDavid Hocnkeyで行くぞ」と決めるきっかけになった作品の波模様が着想源となったストラップサンダル「LITA」。リサーチに訪れた資材屋さんで「これだ!」と一目惚れをしたPVC素材がポイントです。
PVC素材をあしらう前のLITA。
足首に巻いたベルトは渦巻く風を表現しながらも、履きやすさを考慮し、足首がしっかり固定されるようにデザイン。
高さは7cmと少し高めのチャンキーヒールですが、安定感のあるサンダルに仕上げました。
LITA
BLACK, RED, BLUE
¥36,720
※3月上旬入荷予定
KELLY
17SS COLLECTIONで1番人気だったサンダル「KELLY」を今シーズンらしくアップデート。
軽やかに揺れるフェザーを装飾し、今期のデザインインスピレーションのキーになっている”気まぐれな風”の動きを感じさせるデザインに。
KELLY
BEIGE FEATHER, BLUE FEATHER, BLACK, BLACK HAIRCALF
¥39,960〜¥46,440
※2月下旬入荷予定、BLACKとBLACK HAIRCALFは17SSからの継続商品です
バックグラウンドのストーリーも合わせて楽しんで
このように、身の回りのさまざまなものからインスピレーションを受けて、一足の靴ができあがります。
今回はインスピレーションソースや制作フローを交えて、18SS COLLECTIONができるまでの過程をご紹介しました。
ファッションアイテムのひとつとしてだけではなく、1足1足のバックグラウンドに息づくストーリーを合わせてお楽しみ頂ければ幸いです。
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